1000年以上という長期間データを保存可能で、HDD並みの記録密度を備える。そんな「エターナルストレージ」の実現につながる技術を神戸大学大学院 永田三浦研究室のグループが試作し、「ISSCC 2017」で発表した(講演番号:15.8)。

 今回の技術は、Siウエハー内に設けたワード線とビット線の交点の金属ナノドットの有無でデータを記録するもの。金属ナノドットの有無で、ワード線とビット線の間の容量が変化する。この容量差から、「0」と「1」を判別する。ワード線上に金属ナノドットがある場合を「1」、ない場合を「0」としてデータを記録する。金属ナノドットでデータを記録するので、経年変化に強い。データを記録した(金属ナノドットを作り込んだ)ウエハーを絶縁膜で封止すれば、長期間のデータ保存が可能になる。封止後、ワイヤレスで給電、データの読み出しすることを想定する。

ワード線上に金属ナノドットがある場合を「1」、ない場合を「0」としてデータを記録する(図:神戸大学、以下同)
ワード線上に金属ナノドットがある場合を「1」、ない場合を「0」としてデータを記録する(図:神戸大学、ISSCC、以下同)
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 ワード線上に設ける金属ナノドットは、言い換えると、「ワード線とビット線をつながないように短くしたビア」(研究グループ)である。このため、半導体デバイス内の配線のように多層化が容易とする。半導体プロセスを適用可能で、一般的なプロセスと大きく異なるのは、マスクを使ってビアをエッチングして短くする工程が加わる点である。

半導体プロセスを適用可能で、一般的なプロセスと大きく異なるのは、マスクを使ってビアをエッチングして短くする工程(図中5)が加わる点である。
半導体プロセスを適用可能で、一般的なプロセスと大きく異なるのは、マスクを使ってビアをエッチングして短くする工程(図中5)が加わる点である。
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