ISSSCC 2017のセッション25「GaN Drivers and Galvanic Isolators」では、GaNパワーデバイスによる次世代高速パワー・エレクトロニクス・システムの実用化が進行する中、初めての単独セッションとして、GaN用ドライバーおよびデジタルアイソレーターの回路技術が報告された。

 同セッションで、米University of Texas at Dallasと米Texas Instruments社、中国Zhejiang Universityは、0.35μmHV-BCDプロセスで作る10MHz動作GaN DC-DCコンバーター回路を発表した(講演番号25.2)。GaNを使ったパワエレシステムは、高速スイッチングによる放射ノイズ(EMI)が大きな課題である。今回の回路では、ランダム雑音をキャリア周波数に重畳するスペクトル拡散(スプリアス・ノイズ圧縮)方式を採用して、EMIノイズフロアーを約44dBμV以下に抑えた。

 同時に、GaNパワーデバイスのプラト電圧を検出しながら、ゲート立ち上がり傾斜を3段階で変えるゲート駆動方式で、スイッチング電流/電圧スパイクを抑えた。これらの技術により、大きな領域を占めていたEMIノイズ抑圧用フィルターを不要にできる。また、12V電源から5Vを生成するDC-DCコンバーター動作(10MHzスイッチング)において、最大で変換効率85.5%を達成した。高性能な新しいGaNパワーデバイスの普及を反映し、今後も、これらを有効に活用できる高性能なドライバーの開発が加速すると思われる。