「ISSCC 2017」のデータコンバーター分野のセッションは、開始直後から常に立ち見が出る盛況ぶりで、この分野への変わらない関心の高さを窺わせた。今年は全体で14件の論文が採択され、2つのセッションが構成された。セッション16では1Gサンプル/秒以上の変換速度を持つ高速データコンバーター技術の発表があり、セッション28では、昨年から提案が多くなっている複数のアーキテクチャーの長所を組み合わせたハイブリッド型のA-D変換器についてMHzからGHz帯域を実現する最新の研究成果が報告された。

 高速データコンバーターにおいては種々のキャリブレーション技術を駆使し高速・高精度を達成する成果とともに、連続時間型パイプラインなどの新規アーキテクチャーも提案され多くの聴衆の注目を集めた。また、ハイブリッド型アーキテクチャーにおいても、A-D変換器のさらなる電力効率の向上に向けた、PVT(プロセス、電源電圧、温度)ばらつき耐性の高いダイナミックアンプやデジタルアンプ、ビット判定ごとに異なるコンパレーターを用いるパイプライン-SAR型A-D変換器や、ダブル・ノイズ・シェーピング技術など、多くの新規技術が提案された。