「ISSCC 2016」(2016年1月31日~2月4日、米国サンフランシスコ)の撮像素子のセッション(セッション6の「Image Sensors」)では、全9件中、日本勢の発表が6件を占めた。昨年の8件中5件に続き、日本勢は好調を保っており、改めて同分野での日本の強さを示す形となった。

 NHK放送技術研究所は、UHDTV向け8K映像を小型な光学サイズで撮影可能なCMOSイメージセンサーを発表した(講演番号 6.9)。センサーチップとロジックチップをFace-to-Faceで貼り合わせる積層構造を採る。裏面照射型の画素領域の直下に多並列A-D変換器を搭載して、3300万画素(1.1μm微細画素)から240フレーム/秒で信号を読み出すことを可能とした。今後、放送のデータ伝送技術や8Kに向けたディスプレー開発も加速していくことが期待される。

 パナソニックは、時間的同一性を損なわずに120dB超のダイナミックレンジ(明暗領域)で撮影可能な有機光電変化膜を用いたCMOSイメージセンサーを発表した(講演番号6.1)。有機光電変換膜で課題とされていたリセットノイズ(暗領域の画質)を、画素回路にフィードバックループを組み込むことで1.6e-に抑制しつつ、2種類の感度をもつ画素セルを混在させることでダイナミックレンジを拡大した。高感度・高ダイナミックレンジが要求される車載、自動運転、マシンビジョンなどのセンシング領域への展開が予想される(日経テクノロジーオンライン関連記事)。