「ISSCC 2016」(2016年1月31日~2月4日、米国サンフランシスコ)のメモリー分野では、セッションは3つあった。1つのセッションは不揮発メモリーをテーマにしていた(記事はこちら)。残り2つは、それぞれSRAMとDRAMがテーマである。以下にSRAMセッションおよびDRAMセッションの講演を紹介する。

 セッション 17「SRAM」では、SRAMの微細化と高密度化を指向した発表があり、300名を超える聴衆が集まった。まず、韓国Samsung Electronics社が10nm FinFETベースの128MビットSRAMを発表した(論文番号 17.1)。10nmのプロセスノード、0.04μm2のメモリーセル(高密度セル)は共に世界最小である。SRAMでは用途に応じて高密度セルと高電流セルが使い分けられるが、この発表ではセルタイプ別に最適なアシスト技術を比較検討した。特に高電流セルには「dual-transient WL」が効果的としていた。

 米Intel社は、14nm FinFETプロセスで作る1R1W 8T SRAMを報告した(論文番号 17.2)。256セル/ビット線を可能にする小振幅対応の擬似差動センスアンプ(2種類)によって、5.6Mビット/mm2の高いアレー密度を達成した。

 米Michigan大学らが報告した再構成可能なデュアルポートSRAMは4種類の動作モードを切り替えることができる(論文番号 17.3)。そのうちの1モードでは投機的なリードを行うことで、平均的なスループット向上(電源電圧0.7Vで最大5.6倍)と55~70%の消費エネルギー削減(電源電圧0.7~1V)を両立させた。微細化と低電圧化に伴って増加するセル特性ばらつきへの回路対策として、昨今盛んに議論・検討されているアシスト技術とは異なるアプローチである。