「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)」のデジタル関連は、今年の「ISSCC 2016」(2016年1月31日~2月4日、米国サンフランシスコ)から、デジタルアーキテクチャー&システム分野に再編された。同分野では、2つのセッションが設けられた。セッション 4「Digital Processors」と、セッション14「Next-Generation Processing」(セッション14の記事はこちら)である。

 このうち、セッション4「Digital Processors」では、高性能プロセッサーに関する3件などの発表があった。約500人の聴講者が詰めかけ、議論が活発に行われた。プロセッサーの高性能化に対する要求は絶えることがない。一方で、電力、発熱に対する制約はあらゆる用途で厳しくなっている。TDP(熱設計電力)制約の下で高性能プロセッサーを実現するための設計技術に注目が集まっている。

 イスラエルIntel社は、第6世代Coreプロセッサー(開発コード:Skylake)について発表した(論文番号 4.1)。電源領域分割、アナログPLLのデジタルPLL化、使用しないフェーズドライバーの動的なゲーティングなど、前世代に対してきめ細かな実装レベルの最適化を施した。これで例えば、ビデオ再生において前世代のCoreプロセッサー比で消費電力を45%削減している。

 米MediaTek社は、3つのプロセッサークラスターからなるスマートフォン向けSoCについて発表した(論文番号 4.3)。英ARM社のbig.LITTLEアーキテクチャーを拡張し、Ultra Low Power(ULP)/LP/High Performance(HP)という3種のプロセッサークラスターを備え、処理負荷に応じてプロセッサークラスターを切り替えることで電力効率の向上を図った。

 電力管理のために、クロックやイベント、電源電圧、リーク電流などをモニターし、動的に電圧供給を切り替える機能、およびSoCの電圧変動をモニターするための「SupplEyeScan」と呼ぶ広帯域オシロスコープ機能を搭載する。発表で見せたデモビデオでは、単一アプリケーションにおいてプロセッサークラスターを切り替えており、スレッド単位での電力制御も可能なようである。