ドイツ・ニュルンベルクで開催の組み込み関連の国際展示会「embedded world 2017」(3月14日~16日)において、米Texas Instruments社は報道機関向けの発表会を開き、IoT普及に向けた同社の戦略や製品、開発環境に関して説明した。

登壇したRay Upton氏(右端) 日経テクノジーオンラインが撮影。スクリーンはTIのスライド。
登壇したRay Upton氏(右端) 日経テクノジーオンラインが撮影。スクリーンはTIのスライド。
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 昨年(2016年)11月にドイツ・ミュンヘンで開かれたエレクトロニクスの国際展示会「electronica 2016」のCEO討論会では、IoTの現状を次のように報告していた。「IoTのメリットは市場に認識された。一方で、実際に導入しようという機運は今一歩だ」と(関連記事:IoT実用化のカギはセキュリティーが握る、CEO討論会)。普及の足かせになっているのは、セキュリティーと無線通信と言える。これまでスタンドアローンの機器を開発してきたエンジニアはどちらもあまり知らなくても良かったからだ。

 セキュリティーと無線通信の課題に対して、MCUの解を示したのが今回(embedded world 2 017)のTIの発表だった。IoT向けとして、無線通信機能を備えたマイコンやSoCを多くの半導体メーカーが提供している。実は、この無線マイコンやSoCで、ちょっとした混乱が起きている場合がある。例えば、同じ半導体メーカーのマイコン部門と無線通信IC部門がIoT向けに同じようなチップを開発する場合があった。また、MCUと無線通信ICそれぞれを同じメーカーから購入した場合に、それらを別の部門が担当していると、サポートに一貫性を欠くこともあった。

 TIの発表会で最初に登壇したRay Upton氏(Vice President, Connected MCU)は、このような混乱を治めるような手を打ったことを紹介した。すなわち、TIでは、IoT機器に必要なMCUと無線通信用ICを扱う部門を統合し、新たな部門としてスタートさせた。同氏が責任者を務めるConnected MCUがその新部門である(なお、MPUはConnected MCU部門には含まれない)。新部門の発足で、IoT機器開発者の利便性が向上するとのことだった。