米IBM社のArvind Krishna氏(Senior Vice President, Hybrid Cloud and Director, IBM Research)は、スイス・ローザンヌで開催中の国際学会「DATE(Design, Automation and Test in Europe) 17」の基調講演に登壇し、IoTやAIをキーワードにコンピューティング手法の変化について議論した。講演タイトルは「Design Automation in the Era of AI and IoT: Challenges and Pitfalls」(講演番号1.1.1)である。

登壇したArvind Krishna氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。右スクリーンはIBMのスライド。
登壇したArvind Krishna氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。右スクリーンはIBMのスライド。
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 IoT時代に突入してインターネットにつながるデバイス(機器)は増え、データ量が爆発するという話題があちこちで聞かれる。Krishna氏の講演の序盤でもこうした話が紹介された。例えば2017年には市場にあるスマートフォンの演算能力とストレージ容量の総和は、世界中のサーバーの演算能力とストレージ容量の総和を追い抜く。

データ量が増加。日経テクノロジーオンラインが撮影。右スクリーンはIBMのスライド。
データ量が増加。日経テクノロジーオンラインが撮影。右スクリーンはIBMのスライド。
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 同氏によれば、処理すべきデータ量が増えるだけでなく、IoTで特に注意が要るのは関わるアプリケーションが広いことだ。アプリケーションや機器によって求められるスペックが異なる。あるアプリでは消費電力が非常に小さいことが求められるし、別のアプリでは演算能力が第1優先かもしれない。長寿命が必須で高い信頼性が求められる場合もある。また、多くのアプリケーションではクラウドとエッジで処理の分担が発生するが、分担の仕方も多様である。