2基以上のカメラを搭載した製品が2014年以降、急激に増えている。例えばスマートフォンでは、台湾HTC社が発売した「One M8」は500万画素のカメラを2基、つまりステレオカメラを搭載する。撮影した映像の焦点を後から変えることができるという画期的な機能をスマートフォンでは初めて採用した。

 ちなみに、焦点を撮影後変えられるカメラとしては米Lytro社の製品「LYTRO」がある。遠近両焦点の映像を一度に撮影し、後から焦点を変えられるという製品で、2011年当時、米Apple社の故Steve Jobs氏がLYTROの開発者、Ren Ng氏をApple社に呼び出したというニュースが伝わった。このニュースからApple社が“従来にない”映像に対して並々ならぬ関心を持っていることが伝わってきた。

 複数個のカメラを搭載したスマートフォンといえば、6つのカメラを搭載した、米Amazon.com社の「Fire Phone」が目を引く。前面の4コーナーにそれぞれVGAの赤外線カメラを設置、さらに210万画素のカメラを加えた5つを配置。そして背面には1300万画素カメラが設置されている。これらのカメラの役割は“従来にない”映像を作るためではなく、Fire Phoneが捉えた商品情報をAmazon.com社のページに誘導するというものであったが、多角的に映像を捉え、商品を間違いなく限定するという点では今までにない試みであった。

 上記2つのスマートフォンは商業的には大成功といえる実績を上げているとは言いにくい。だが、今後のスマートフォンの映像の在り方を予想させるものであった。