2016年に韓国Samsung Electronics社が発売したフラッグシップのスマートフォン「Galaxy S7」は既に多くの国や地域で入手できる。日本でも各通信キャリアによって大々的に宣伝され、多くのTVコマーシャルなどで目にする製品だ。

 Galaxy Sシリーズは2010年に登場したSamsung社の主力機種で、今回のモデルは7代目となる。その間、同シリーズは初代を除くと各機種は常に2種類以上(多い機種では4種類以上)の内部構造が存在していた。その理由は通信方式だ。

 第3世代と呼ばれる「3G通信」は、大別すると3種類の通信方式が存在する。日本でNTTドコモとソフトバンクが採用した「W-CDMA」とKDDIが採用した「CDMA2000」、そして中国で主流の「TD-SCDMA」である。米国ではVerizon Wireless社がCDMA2000、AT&T Mobility社がW-CDMAを採用していた。

 Samsung社は販売する国や地域、通信キャリアに応じて、3種類以上のプラットフォームを同時期に開発する必要があった(一方、米Apple社は「iPhone 4S」までCDMA2000に対応しなかった)。Galaxy Sシリーズは全世界を最初から対象とするため、W-CDMAモデルは米Intel社のモデムプラットフォーム(独Infineon Technologies社から買収)、CDMA2000モデルはCDMA2000通信に対応するチップを供給する2社(米Qualcomm社と米VIA Technologies社)のモデムプラットフォームを採用した。さらに中国市場向けのTD-SCDMAモデルでは、中国メーカーのチップを活用することもあった。