米Intel社と言えば、多くの人が「プロセッサーメーカー」だと認識しているだろう。特に汎用性の高いCPUメーカーとしての認識が高い。ただし実際はチップセットメーカーとして、古くからプロセッシングユニットとインタフェース(I/F)のチップをセット化して供給を続けてきた。古くはノースブリッジ(メモリーI/FやPCI Express(PCIe))とサウスブリッジ(Serial ATA(SATA)など)とプロセッサーという3点セット、近年はハブコントローラー+プロセッサーという構成で供給を行っている。
ノースブリッジやハブコントローラからPCIeを介して接続される代表的なものの1つがグラフィックボードだ。グラフィックボードはその名の通り、グラフィック処理を行う専用プロセッサーであるGPUを用いたチップを搭載している。代表的なGPUとして、米NVIDIA社の「GeForce」シリーズや米AMD社の「Radeon」シリーズがある。
2010年あたりまでのデスクトップパソコン(PC)やノートPC、ネットブックなどでは、マザーボードにこうしたGPUチップとIntel社のチップセットが搭載されていた。例えば2011年に米Apple社が発売した「MacBook Air」では、Intel社のCPU「Core 2 Duo」とNVIDIA社のGPU「GeForce 320」が搭載されている。
しかしIntel社はその後、GPUの回路を搭載したプロセッサーを大幅に増やしている。図1は、32nmから22nmに至る同社のプロセッサーにおけるGPU機能の増加状況だ。「HDxxxx」は同社のGPU回路のネーミングである。今では、プロセッサーのチップ面積の3分の1から2分の1強がGPU回路に使われている。図1に示すように22nmの「HD5200」を搭載したケースでは、実にチップ面積の6割弱がGPU回路だ
米Apple社も自前のプロセッサーにおいて、「A4」から最新の「A9X」までCPUとGPUの回路を混載したチップを作り続けているが、最新のA9Xでもチップの4割強の面積しかGPU回路に割いていない。いかにIntel社のプロセッサーのGPUの面積比率が大きいかが分かる。そしてその後に発売されたMacbook Airでは、NVIDIA社のGPUチップはIntel社のHDシリーズに弾き出される形で搭載されなくなった。