半導体業界のみならず、電子部品にも通じる「ムーアの法則」というものがある。「コンピューターは18か月で2倍の性能を実現できる」とか「1プロセス世代の進化によってチップの単位面積当たりの集積度は2倍になる」といった内容の法則だ(正式には別の意味を持っているので機会があれば説明したい)。

 米Intel社の創業メンバーの1人であるGordon Moore氏がムーアの法則を提唱したのは、今からおおよそ50年前になる。その後のコンピューターや半導体の進化はまさにムーアの法則のまま、2016年まで進化を続けてきた。大型コンピューターはパソコン(PC)を経てスマートフォンになり、半導体も4ビットから64ビットまで処理幅を広げた。メモリーもプロセッサーも画像処理も、ほぼ全てがムーアの法則の通りに進化した。

 この法則は2つの点で、半導体という一産業を超えた効果をもたらした。1つはロードマップという未来計画だ。ムーアの法則が続く限り、各メーカーは「200X年には、201X年にはどんな性能が達成できるか」という認識を共有できるので、事業計画や設備投資を行いやすいという利点がある。半導体メーカーばかりでなく、メーカーやエンドユーザーさえもがムーアの法則に支えられてきた。