2年ほど前にインターネットやテレビを通じて販売され、大きな話題となって続編商品も今もなお売れている「Fridgeezoo」という製品がある(図1)。玉子ほどのサイズにセンサーや音声マイコンが組み込まれていて、冷蔵庫を開けると挨拶をしたり、開けっ放しにすると文句を言うなどの機能を備える。続編商品では各地の方言で話したり、おもしろいことをしゃべったりもする。

冷蔵庫を開けるとしゃべる玩具「Fridgeezoo」
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冷蔵庫を開けるとしゃべる玩具「Fridgeezoo」

ハード原価150円でも2000円で売れる

 この製品は、たった6個の部品で構成されている。音声マイコン(台湾製)、環境光センサー、スピーカー、電池、配線、そして筐体だ。いろいろな動物や人物をあしらった筐体の製品が各種販売されているが、筐体以外は全て共通である。図1に示した価格は発売後のものだ。おおむね2000円前後で販売されている。2016年1月時点での「Amazon.co.jp」での最安値でも1418円。購入者の使用した感想は星4つ以上と評判も高い、ちょっとしたベストセラー、ロングセラー商品である。

 詳細は割愛するが、この製品の構成部品のハードウエア原価はわずかに90円(中国のネットサイトで部品を調べての結果なので、大量買いすればさらに安くなるのかもしれない)である。音声や環境光センサーなどのソフトウエア処理を組み込んだとしても、原価は大きなものにはならない。仮に原価が150円だとしても、2000円で売れるのだから驚異的な利益率の製品ということになる。

 技術分野や半導体業界からは軽視されがちだが、玩具や白物家電、ホームユーティリティー製品の分野では、こうした製品が結構な数、存在している。週末に家族連れなどで賑わう場所(ファミリーレストランや高速道路のサービスエリア、アミューズメントパークなど)には、電子部品を搭載した玩具や教育関連の製品が吊るし売りされ、会計のついでに子供に買い与える状況をしばしば目にする。これらの製品は数百円から2000円前後と決して安い価格ではないが、行楽や買い物の行動の中に組み込まれ、価格に関係なく売れているようだ。

 それらの中身は、Fridgeezooとあまり変わらない。台湾や中国、韓国製のマイコン、音声用の増幅器や簡易なタッチコントローラーが搭載されているだけである。これらチップのハードウエア合計金額は、多めに見積もっても150円を超えることはないとみている。それが2000円前後で売れているのだ。また子供向けのタブレット端末などはロングセラー商品である場合も多い。