近い将来、物流倉庫の仕分け作業は無人になるかもしれない――。ドイツDHL International社が東京に設けた新拠点は、そんなことを予感させる仕組みが満載だ。2016年6月2日に同社の日本法人であるDHLジャパンが本格稼働を開始した「東京ゲートウエイ」は、自動仕分け装置や自動X線検査機をはじめとする最新鋭の設備を導入している。

DHLの新施設「東京ゲートウェイ」には、自動仕分け装置や自動X線検査機など最新の設備が満載だ

 DHL International社のような国際物流会社にとってのゲートウエイとは、空港と国内の配送センターを結ぶ、国際宅配便に特化した輸出入の拠点施設だ。同社の国際宅配便サービスでは、「同日搭載(輸出貨物は集荷した当日中に航空機に搭載)」および「同日配達(輸入貨物は航空機の到着した当日中に配達)」をうたっており、それを実現するためには、ゲートウエイでの高速な仕分けが不可欠である。年々増加する国際貨物に対応するために、同社は約90億円を投資し、東京ゲートウエイを開設した。首都圏を含む東日本地域をカバーする予定で、同社が世界に保有するゲートウエイの中でも貨物取扱規模が最大級となる。

 東京ゲートウエイの倉庫面積は2万m2で、それまでゲートウエイとして活躍していた東京ディストリビューションセンター(TDC)の約2倍となる*1。従来は人手で行っていた貨物の仕分けを自動化することで、貨物仕分け能力を1時間当たり約1万2000個と、旧施設から60%高めた。貨物だけではなく、書類についても1時間当たり1万2000通の仕分けが可能である。

東京ゲートウエイと旧施設との比較。貨物仕分け能力の増加のみならず、新たにX線検査機を導入するなど、セキュリティー面も向上した。
東京ゲートウエイと旧施設との比較。貨物仕分け能力の増加のみならず、新たにX線検査機を導入するなど、セキュリティー面も向上した。
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