上場企業の経営者にとって、新しい事業戦略による業績の拡大や株主還元の処方箋が株主価値を引き上げる施策として、常に要求されている。Qualcomm社によるNXP Semiconductors社の買収が、半導体事業戦略として妥当なのか、さらには株主価値を引き上げる戦略として評価されているのかを見定める必要がある。

  今回は、東海東京調査センターの石野雅彦氏が、主要半導体関連企業の時価総額、経営指標などを検証し、Qualcomm社の買収戦略の妥当性と買収による課題を考察する。
(記事構成は伊藤元昭)

石野 雅彦(いしの まさひこ)
東海東京調査センター シニアアナリスト
 山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、通信など電子デバイス産業を対象にした企業調査および産業分析に従事している。

【質問1】Qualcomm社の経営者の立場なら、自社の価値を最大化するために何をしますか。
【回答】巨大企業化する中での5つの指標の維持・促進

【質問2】今回の買収で、最も影響を受けると思われる競合はどこですか。
【回答】過去の自分自身であり、業界全体

【質問3】買収後のQualcomm社に死角があるとすれば、どこが問題になると思われますか。
【回答】開発の効率性と収益性