IoTのコンセプトの原型となったものに、米General Electric(GE)社の発電用タービンビジネスがある。そのビジネスモデルがいかに画期的なものなのか、1990年代末に、あるコンサルタントから説明を受けたことがある。その時の説明の要旨は以下のようなものだった。

 「GE社のタービンは、信頼性や品質の面では日本企業の製品に及びません。しかし、タービンにセンサーを取り付け、そこで取得したデータをモニタリングしてタービンの疲弊を観測し、それをグループ企業の損害保険サービスの料率に連動させたのです。いかに高品質なタービンでも、いつ壊れるか分からないものを買うより、GE社のタービンとそれに付随する保険サービスを買った方が電力会社にとってのメリットは大きくなります。これからの時代は、こうした新しい発想のビジネスモデルが求められているのです」。

 高品質を維持するためには、相応のコストが必要になる。しかし、高品質であることは、高性能や多機能であることに比べて、価格に転嫁しにくい価値だ。万全の品質管理体制を敷くことは、価格競争が激しい業界では難しいことだ。日本企業の品質管理不安を論じている今回のテクノ大喜利、6番目の回答者は某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。同氏は、品質管理技術を題材にして、ビジネスモデルにイノベーションを生み出そうという斬新な提言を提示した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
いち半導体部品ユーザー
某ICT関連企業
いち半導体部品ユーザー ICT関連企業で装置開発に必要な半導体部品技術を担当。装置開発側の立場だが部品メーカーと装置開発の中間の立場で両方の視点で半導体部品技術を見ている。
【質問1】日本企業の品質管理の現場で、不正が常態化してしまう原因はどこにあると思われますか?
【回答】ルールに依存しすぎ
【質問2】一連の品質管理の不正による波及効果の中で、最も深刻だと思われることは何だと思われますか?
【回答】高品質維持のためのコスト意識の低さ
【質問3】日本企業は、世界の中での信頼回復に向けて何をすべきだと思われますか?
【回答】形だけの品質管理から本来の製品個々の品質コントロール