画素数が1000万画素のデジカメと2000万画素のデジカメでは、どちらが高性能だとみなされるだろうか。多くの消費者は、当然、2000万画素のデジカメの方が高性能だと思うことだろう。実際には、画質の良しあしを議論するのなら、撮像素子の1画素当たりの大きさなどさまざまな要因があるだろうが、数字で表すことができる高性能は何より説得力がある。
では工業製品の品質についてはどうだろうか。ISO9000シリーズを取得しているとか、ユーザーの談話で通じて高品質が喧伝されることもある。しかし、性能や価格などに比べればずっと主観的かつ情緒的で曖昧な価値だ。ユーザーが高品質を認識するためのアイコンとして、一流ブランドのマークや「Made in Japan」といった表示がついていることを重視している。問題は、こうした曖昧な価値が一度毀損してしまった場合である。価値が曖昧であるため、高品質であることを証明する術がない。
神戸製鋼などによる一連の品質管理不安について考えている今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、「高品質立国ニッポン」という国際的な評価が毀損した状況を鑑み、それを回復するためにすべきことは何かを論じた。
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル