Qualcomm社によるNXP社の買収で、とにかく品ぞろえの豊富な半導体メーカーが生まれることは分かる。では実際のところ、どの程度のカテゴリーのデバイスをカバーし、どの程度強力な競争力を持つメーカーになるのだろうか。買収後の同社の品ぞろえをチェックすることで、同社の今後の戦略が明確になってくる。

 今回は、テカナリエの清水洋治氏が、Qualcomm社の戦力となる半導体デバイスの強みを買収前後でカテゴリーごとに5段階評価した。同氏は、長年にわたって競合企業の中からQualcomm社やNXP社、そしてFreescale Semiconductor社と対峙してきた。今も電子機器に搭載される半導体デバイスの分析を通じて、業界内での半導体各社のポジションをよく知っている。同氏の考察の結果見えてきたのは、これから成長する応用市場を丸ごと総取りできる「完全体Qualcomm」へとジリジリと成長していく姿である。
(記事構成は伊藤元昭)

清水洋治(しみず ひろはる)
テカナリエ 技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスなど半導体メーカーにて、1984年から2015年まで30年間にわたって半導体開発に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見を持っている。2015年から、半導体、基板、およびそれらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの上席アナリスト。

【質問1】Qualcomm社の経営者の立場なら、自社の価値を最大化するために何をしますか。
【回答】丸ごとに挑む

【質問2】今回の買収で、最も影響を受けると思われる競合はどこですか。
【回答】クルマ関連ではなく、むしろアナログメーカー

【質問3】買収後のQualcomm社に死角があるとすれば、どこが問題になると思われますか。
【回答】コンピューティングとスケーラブル