今回のテクノ大喜利は、「チャイナスタンダードは世界を制するか」と題して、中国企業が発信する技術やビジネスの手法が世界標準になる可能性を議論している。そもそも標準とは何か。電気・電子の業界で標準といえば、「頼りにすべき基準」と言った意味になろうか。そして、標準という言葉に、唯一の基準であるという意味合いは本来含まれていない。つまり、世界標準はいくつあってもよい。

 チャイナスタンダードの今後について考えるとき、それが世界の電気・電子業界を先導するパワーを持ち得るのかという点がまず気になる点だ。そして、もしもチャイナスタンダードが世界を先導するようになったのならば、それが他の標準を押しのけて唯一の基準になるのかという点が次に気になる点だ。

 今回のテーマ、4番目の回答者は、東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、中国と米国がそれぞれ似て非なるスタンダードを打ち出し並立する将来について語る。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
石野 雅彦(いしの まさひこ)
東海東京調査センター シニアアナリスト
石野 雅彦(いしの まさひこ)  山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、ディスプレイ、通信などテクノロジー企業および産業を対象にした調査・分析に従事している。
【質問1】中国企業が世界の技術開発や市場成長を先導する可能性が最も高い分野は何でしょうか?
【回答】 IoT技術がすべての産業分野を根底から変革させる「第4次 産業革命」を推進し、米国と中国がほぼ同時期に「シンギュラリティー」を実現する
【質問2】今後、中国発の標準が欧米発の標準に取って代わる動きが進むと思われますか?
【回答】米国を中心とする「パクス・アメリカーナ」の時代が変貌し、米国と「一帯一路」を進める中国が世界の標準を決める「ダブルスタンダード」の時代になる
【質問3】中国発標準に対峙して、日本の電気・電子産業はどのような戦略・施策は採る必要があると思われますか?
【回答】まず、米国と中国の動きから圧倒的な遅れを取っていることを認識すべき