さまざまな産業分野の世界市場において、中国企業の存在感がどんどん大きくなっている。

 半導体産業での紫光集団を中心とした中国企業の台頭は、テクノ大喜利でもこれまで何度か議論してきた。電子機器産業でも、Huawei社は圧倒的なコストパフォーマンスを武器にスマートフォンのシェアでApple社を抜く可能性が出てきた。さらに、ドローンのような新市場でも、DJI社が、欧米企業の動きがスロー過ぎると感じるほどの開発力で、シェア7割を占めている。

 これから中国では、自動車のEV化が加速し、既に世界のEV市場でシェア1位にあるBYD社が、好機をテコにした世界市場での飛躍を虎視眈々と狙っている。また流通分野でも、いまや世界一の流通小売業となったAlibaba社が、AI(人工知能)やIoT、量子コンピューティングなど次世代技術の開発に向けて3年間で150億米ドルの研究開発投資を行うと発表した。

 ともすれば、規模と資金力だけに目を奪われがちな中国企業だが、技術開発のスピードや技術レベルの向上は著しく、中国企業は欧米や日本のもの真似だけをしていると思ったら足下をすくわれる状況になっているようにも見える。そして、巨大な中国市場だけではなく、世界市場へと確実にビジネスの場を広げている。「チャイナスタンダード」が世界市場を先導する未来もうっすらと見え始めた。

 今回のテクノ大喜利では、「チャイナスタンダードは世界を制するか」と題して、中国企業が発信する技術やビジネスの手法が、世界の市場を先導する未来の可能性について議論する。最初の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏である。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし)  大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経テクノロジーオンラインなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】中国企業が世界の技術開発や市場成長を先導する可能性が最も高い分野は何でしょうか?
【回答】EV
【質問2】今後、中国発の標準が欧米発の標準に取って代わる動きが進むと思われますか?
【回答】進む
【質問3】中国発標準に対峙して、日本の電気・電子産業はどのような戦略・施策は採る必要があると思われますか?
【回答】対峙する戦略・施策ではなく、活用する戦略・施策を採るべき