既存の仕組みや秩序に反すること、理解が困難なことに直面した時、例えそれがどんなに可能性に満ちていたとしても、日本企業や多くの日本人はそこに身を投じることを躊躇する。ブロックチェーンはその代表例かもしれない。クレジットカードや電子マネーでの決済が不自由なく使えるようになった現在でも現金決済にこだわる多くの日本人にとって、仮想通貨は怪しい仕組み以外の何物でもない。

 それを支えるブロックチェーンという技術も、仕組みの分かりにくさも相まって、可能性を評価する段階以前のところにいる人が多いのではないか。そんな日本人を尻目に、バイタリティーに富んだ米国人や中国人たちは、ブロックチェーンの理解と応用、扱いのノウハウを着実に蓄積している。

 電気・電子、機械産業へのブロックチェーンの波及効果を議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者はGrossbergの大山 聡氏である。同氏は、ブロックチェーンを巡る海外の動き、特に規制の動きをまとめながら、それでも利用が加速していく現状とその中での日本の位置を考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
大山 聡(おおやま さとる)
Grossberg 代表
大山 聡(おおやま さとる)  1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年よりIHS Markitで、半導体をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。2017年9月に同社を退社し、同年10月からコンサルティング会社Grossberg合同会社に専任。
【質問1】ブロックチェーンの活用拡大で、電気・電子産業には、どのような新市場が生まれると思われますか?
【回答】電気・電子産業の企業が金融業に進出する可能性がある
【質問2】ブロックチェーンによって、電気・電子産業の業務やビジネスモデルには、どのような変化が生じると思われますか? 
【回答】今まで以上に、スマホとの連動を意識したハード・ソフトが普及する可能性があるが・・・
【質問3】ブロックチェーンによって、電気・電子産業の中で、最も大きな影響を受けると思われる企業や職種は何だと思われますか?
【回答】 NEC、富士通などのIT企業にとって、極めて大きなチャンスであるとともにリスクでもある