ブロックチェーンは、既存の社会システムの運営方法を根本的に変えてしまう可能性を秘めている。仮想通貨は、そうした秘められた効果の一端を、私たちが目にした最初の例である。おそらく、これは始まりにすぎない。取引や契約が交わされるあらゆるところで、ブロックチェーンの活用を中核に据えたイノベーションが起きる可能性がある。

 さまざまな業種が社会に提供するサービスは、既存の社会システムの下で使われることを前提として最適化されている。そうしたサービスに使われているITシステムの構造や機能、さらには電子機器の構造や機能もまた同様だ。ブロックチェーンの活用が広がることで、これまで規制や制度が果たしてきた役割がシステムや機器に移り、その構造や機能の再定義が始まるかもしれない。

 電気・電子、機械産業へのブロックチェーンの波及効果を議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者はアーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、既存の社会システムを運営していくための両極端な方法、統治者による運営と市場原理による運営を比較対象として、ブロックチェーンで可能になる新たな運営方法を位置付け、そこから電気・電子産業へのインパクトを考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)  世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】ブロックチェーンの活用拡大で、電気・電子産業には、どのような新市場が生まれると思われますか?
【回答】自律協調型の新たな社会システムのプラットフォーム
【質問2】ブロックチェーンによって、電気・電子産業の業務やビジネスモデルには、どのような変化が生じると思われますか? 
【回答】社会インフラ分野における、端末側での付加価値獲得の契機
【質問3】ブロックチェーンによって、電気・電子産業の中で、最も大きな影響を受けると思われる企業や職種は何だと思われますか?
【回答】家電産業にとっての再飛躍の機会