すべてのデータの保存をNAND型フラッシュメモリーでまかなう「オールフラッシュ・ストレージ」の普及が、クラウド上のサーバーやストレージ機器へと広がってきた。
かつてデータセンターなどで使われるストレージでは、大容量第一で蓄積媒体が選ばれていた。これが、仮想化環境の普及やビッグデータ解析の高速化を背景にして、ランダムアクセス性能が重要視されるようになった。そして、従来のHDDの性能改善が限界に達してきた今、にわかに注目が集まったのがオールフラッシュ・ストレージである。
オールフラッシュ・ストレージの普及は、フラッシュメモリーの価格の低下に後押しされている。初期費用に運用中の電力料金や保守費用、スペース費、人件費、冷却費などを加算した総所有コスト(TCO)は、2016年にHDDに並び、その後も減少し続けるという予測が出ている。ストレージ機器のメーカーの中からは、「もはやHDDを使う理由はない」という声も出てきた。実際、ハイエンド機から導入が始まったオールフラッシュ・ストレージは、着実にローレンジの機種へと適応範囲を広げている。
今回のテクノ大喜利では、情報システムの主要機能であるストレージで進行する技術の大変革が、半導体産業や情報システムを利用する産業にどのような影響を及ぼすのか議論する。最初の回答者は、野村證券の和田木哲哉氏である。
(記事構成は伊藤元昭)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター