近未来のICT産業が、クラウドコンピューティングやビッグデータ、人工知能、IoTといった技術を基軸にして発展していくことに疑う余地はない。これらの技術に関連したキーワードの一つに「ウエアラブル」がある。人と仮想空間の間をつなぐ機器として、スマートグラスやスマートウォッチなどが重要な役割を担っていくと期待されている。
さらに、半導体デバイスや電子部品を供給するメーカーのウエアラブル機器市場の成長にかける期待は、極めて高い。多くの半導体メーカーがウエアラブル機器向けの製品を発表している。先日幕張メッセにて開催されたCEATEC Japan 2015でも、多くの電子部品メーカーが、ウエアラブル機器への搭載を想定した超小型電子部品などが競うように展示した。
ウエアラブル機器を一般消費者に普及させる上での起爆剤となることを期待されたApple社の「AppleWatch」が発売されてから半年が経過した。スマートウォッチの中では、断トツの販売台数を誇っているものの、ブレイクと言える状況にはまだ至っていないと言えそうだ。一方、ICT業界の別の極を占める雄であるGoogle社が開発していたスマートグラス「Google Grass」は、この1月に一般消費者向けの販売を中止。今後はB2B製品としての販売を検討していくと発表した。
これからICT産業が発展していく上で、ウエアラブル機器は普及してもらわないと困る機器である。しかし、その普及には、もうひと押しが必要であるように見える。今回のテクノ大喜利では、「俺のウエアラブル普及策」と題して、ウエアラブル機器を一般消費者に普及させるための思いおもいの方策を考えることを目的とした。最初の回答者は、野村證券の和田木哲哉氏である。(記事構成は伊藤元昭)
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター