Intel社とMicron Technology社が発表した、新型メモリー技術「3D XPoint Technology」の将来性とその登場による波及効果を考えるための視点抽出を目的としているテクノ大喜利。今回の回答者は、微細加工研究所の湯之上 隆氏である。NANDフラッシュメモリーが普及した理由を考察し、3D XPointとNANDフラッシュの類似点と相違点を指摘して頂いた。(記事構成は伊藤元昭)
微細加工研究所 所長
【質問1の回答】小さなイノベーションを起こす
新型メモリーについては、これまでも、FeRAM、PRAM、ReRAM、MRAMなど、さまざまなメモリーが開発され、既存のSRAM、DRAM、NANDフラッシュ、NORフラッシュを代替する計画が発表されてきた。しかし、残念ながら、一度もそれが実現したことは無い。つまり、1987年にNANDが発表されて以来、新型メモリーがイノベーションを起こした例は無い。
なお、ここでいう「イノベーション」とは、「爆発的に普及した技術や製品」を意味する。新聞、雑誌、テレビなどが「イノベーション」の訳として用いている「技術革新」は、明らかに誤訳である。質問1は、この正しい訳での「イノベーション」という言葉を使えば、「3D XPointは、NAND以来のイノベーションを起こすことができるのか?」と言い換えることができる。私は、3D XPointは勢力図を大きく塗り替えるほどではないかもしれないが、ある程度普及すると思う。つまり、3D XPointが小さなイノベーションを起こすだろうと予測している。その理由は、これまでの新型メモリーがなぜ普及しなかったか、なぜNANDは普及したのかを考察することによって明らかになってくる。