産業界は、時代ごとの技術トレンドや市況、産業の活力と対峙し、最善の事業体制を整えていく必要がある。こうした観点から見ると、日本の産業界は、これまでにも増して、大学の力を借りなければならない状況に置かれているのかも知れない。
今回は、IHSテクノロジーの南川 明氏が、日本の半導体産業に対象を絞り、今産学連携の重要性が高まっていることを訴える。日本では、半導体産業の黎明期では大学の存在感が大きかったが、1980年代に黄金時代を迎え各企業の研究開発力が増す中で、大学との関係は相対的に徐々に細くなっていった。そして、国際的な産業競争力と共に技術開発力が衰えた今、改めて大学の力が求められている。南川氏はさらに、半導体産業が今取り組む技術課題での産学連携の必要性にも言及した。
(記事構成は伊藤元昭)
IHSテクノロジー 日本調査部ディレクター
1982年からモトローラ/HongKong Motorola Marketing specialistに勤務後、1990年ガートナー ジャパン データクエストに移籍、半導体産業分析部のシニアアナリストとして活躍。その後、IDC Japan、WestLB証券会社、クレディーリヨネ証券会社にて、一貫して半導体産業や電子産業の分析に従事してきた。2004年には独立調査会社のデータガレージを設立、2006年に米iSuppli社と合併、2010年のIHSグローバル社との合併に伴って現職。JEITAでは10年以上に渡り,世界の電子機器と半導体中長期展望委員会の中心アナリストとして従事する。定期的に台湾主催の半導体シンポジウムで講演を行うなど、アジアでの調査・コンサルティングを強化してきた。