半導体業界では当たり前でも、他業界からは奇妙に見えることが多々ある。業界団体主導で、世界的統計が公表されるのもその1つだ。半導体業界では、Mooreの法則に沿った予定調和的な技術開発と業界発展が前提に考えられているためか、企業間の利害を調整する業界団体の力が強い。世界的な統計値を共有し、それぞれの企業が経営判断を下す風潮も、こうした業界構造の一端である。
今回のテクノ大喜利では、半導体関連の統計値が不確かになっていることにどう向き合っていったらよいのかを議論している。今回のテーマを編集部内で企画したとき、半導体以外の分野を見ている記者からは、「そもそも、どうしてそのような統計値が必要なのか。他の業界には、細かい生産量や受注量などのデータはなくてもビジネスをしている」という声が上がった。もしかすると、半導体関連の統計値は、経営判断を下す上で便利なものではあったが、必要不可欠なものではなかったのかもしれない。業界構造が大きく様変わりする中、もう一度、統計の意義、必要性を問い直すべきではないか。
6番目の回答者は、東海東京調査センターの石野雅彦氏である。正確な統計値がないことを前提にビジネスすることで、得られる力があることを指摘している。
東海東京調査センター シニアアナリスト