東芝のいわゆる「不適切会計問題」は、同社の今後の事業に大きな影響を及ぼすことが必至の情勢だ。今回の問題が明らかになる以前の2015年3月、本コラムの前身であるSCR大喜利では、「東芝のメモリー事業は、なぜ生き残りなぜ好調なのか」をテーマに議論した(参照記事)。そこでは、日本の半導体産業の中でただ1社気を吐き、世界の半導体メジャーと互角に戦う同社の強さを、さまざまな角度から分析した。ところが、同社の過去と現在の評価、そして将来の見通しは、再考せざるを得なくなった。

 半導体事業、特に東芝が高い競争力を持つNANDフラッシュメモリー事業では、巨額の設備投資と研究開発投資が欠かせない。他の事業以上に財務状況と密接に関係した事業と言える。たとえどんなに技術的に優位な状況でも、資金調達が困難になれば、商機を逸したり、戦略の自由度が低くなる可能性が出てくる。同社は、財務基盤に不安要因と不確定要因を抱えながら、現在の激動の半導体業界を渡ることになる。

 今回のテクノ大喜利では、現在の同社の半導体事業の状況、そして今後の方向性を考える上での、注目点を洗い出すことを目的とした(表1)。各回答者に投げかけた質問は以下の通り。

【質問1】
今回の問題で、東芝の半導体事業にはどのような影響が及ぶと思われますか?

【質問2】
東芝の半導体は、どのような戦略や戦術の変更が必要になると思われますか?

【質問3】
サプライヤーとユーザーには、どのような影響が及ぶと思われますか?

表1●回答のまとめ
表1●回答のまとめ
[画像のクリックで拡大表示]