近年、特定分野でダントツに強い半導体メーカーが生まれるようになった。 パソコン向けプロセッサーでは米Intel社、スマートフォン向けプロセッサーでは米Qualcomm社、メモリーでは韓国Samsung Electronics社、アナログでは米Texas Instruments社、パワー半導体では独Infineon Technologies社・・・。主要な品種の市場では、少数だが複数メーカーが共存する寡占状態は終わった。今や、1位企業のシェアが2位をダブルスコア、トリプルスコアで引き離し、市場で君臨する局面へと移りつつある。

 こうしたダントツ半導体メーカーが登場した背景には、ここ数年間、半導体業界で立て続けに起きてきたM&A、ソリューションビジネスやプラットフォームベースでのシステム開発の拡大など、さまざまな要因がある。半導体チップの開発や製造に要する投資がうなぎ上りに巨額化していることも相まって、ダントツ半導体メーカーたちによる市場支配構造は、動かしがたい潮流になってきている。

 ビッグデータを扱う情報システムの利用が広がり、半導体需要は今後も堅調に伸び続けていくことが確実である。そうした中、半導体チップの主要品種それぞれに、市場と技術開発に大きな存在感を示すダントツ企業がいることは、半導体ユーザーのビジネスに、どのような影響を及ぼすことになるのだろうか。今回のテクノ大喜利では、特定の分野で圧倒的な力を持つ半導体メーカーが存在することの功罪を論じた。各回答者への質問は以下の3つである。

【質問1】ダントツ半導体メーカーの存在は、半導体ユーザーにどのようなメリットをもたらしますか?
【質問2】半導体ユーザーに、どのようなデメリットが生じますか?
【質問3】ダントツ企業同士による、分野を超えた競合が起きる可能性はありますか?

 3つの質問に対するそれぞれの識者による回答要旨は、以下の表の通りだ。

表1 テクノ大喜利「ダントツ企業が割拠する半導体市場」回答まとめ
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表1 テクノ大喜利「ダントツ企業が割拠する半導体市場」回答まとめ