自動車は、現代社会に無くてはならない交通インフラであり、ツールであり、文化である。そして、ほぼ100年間、内燃機関を動力源として使い続けてきた。エンジン車の活用を前提として社会や産業の仕組みが出来上がり、自動車の利用を支援する仕組みもまたエンジン車であることを前提にして作られている。こうして生まれた自動車の活用と利用支援に関わる周辺産業は、極めて巨大である。

 エンジン車の廃止が実現すれば、自動車産業の姿が大きく変わることは間違いない。加えて、そのインパクトは周辺産業にも及ぶ。エンジン車から電気自動車(EV)へと主役が変わり、クルマ作りでは電気・電子産業に大きな商機が生まれる。同時に、EVの活用と利用支援にも、クルマ作りを上回るような商機が広がる可能性が高い。電気・電子産業が、エンジン車廃止の潮流の中でよりよい商機をつかむには、想像の視野をグンと広げて考える必要があるのではないか。

 「エンジン車廃止の潮流に商機を探る」をテーマに議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。同氏は、自動車産業そのものの変化にとどまらないエンジン車廃止のインパクトの広がりを考慮し、そこでの商機を考えるための視点を提示する。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
三ツ谷 翔太(みつや しょうた)  世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。
【質問1】エンジン車の廃止に向けた、最大のボトルネックは何でしょうか?
【回答】内燃系を前提としてきた社会・産業システムの統体的な再設計
【質問2】エンジン車の廃止に伴って、電気・電子業界に生まれる最大の商機は何でしょうか?
【回答】単純な拡販ではなく、提供価値そのものの拡大
【質問3】商機をつかむために、どのようなアクションをすべきでしょうか?
【回答】新たな枠組みの創造に向けたエコシステムの協創