太陽王と呼ばれたルイ14世は「朕は国家なり」と言い放ち、フランスのあらゆることに影響を及ぼす絶対的な存在感を示した。ダントツ半導体メーカーの中には、その威光が及ぶ技術分野の進歩と市場の成長を決定づけ、その分野の技術を活用する応用市場の盛衰をも左右する存在感を放つところが出てきている。

 競合企業ならば、そんな絶対的な存在といかに共存し、生きながらえ、隙をみつけて挑戦したらよいのか、汲々として考えることになる。しかし、ユーザー企業には別の処世術がある。絶対的な存在であるダントツ半導体メーカーを利用して自社の事業を強化する、という視点からダントツ半導体メーカーを位置づけることができる。

 「ダントツ企業たちが割拠する半導体市場」と題して、半導体ユーザーにとってのダントツ企業の功罪を論じている今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、IHSテクノロジーの大山 聡氏である。ダントツ半導体メーカーの強大な力に対抗したり、削いだりすることは考えず、むしろその力を利用するしたたかな戦略を提示した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
大山 聡(おおやま さとる)
IHSテクノロジー 主席アナリスト
大山 聡(おおやま さとる)  1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年より現職で、二次電池をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。
【質問1】ダントツ半導体メーカーの存在は、半導体ユーザーにどのようなメリットをもたらしますか?
【回答】当該市場の安定性・継続性がある程度保証されること
【質問2】半導体ユーザーに、どのようなデメリットが生じますか?
【回答】ダントツ半導体メーカーに大半の付加価値を制御されて、ユーザー側の付加価値が極端に制限されること
【質問3】ダントツ企業同士による、分野を超えた競合が起きる可能性はありますか?
【回答】可能性は十分にあるし、市場にとってメリットがある