多くの国に、独占禁止法と呼ばれる法律がある。日本の公正取引員会のホームページには、正式名称が「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」であるこの法律の目的を「公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で、自由に活動できるようにすることです。市場メカニズムが正しく機能していれば、事業者は、自らの創意工夫によって、より安くて優れた商品を提供して売上高を伸ばそうとしますし、消費者は、ニーズに合った商品を選択することができ、事業者間の競争によって、消費者の利益が確保されることになります」と説明している。
度重なるM&Aの結果、半導体業界では、特定分野で2位以下の2倍、3倍ものシェアを持つダントツに強い半導体メーカーが生まれている。ダントツメーカーの登場は、独占禁止法で取り締まられる状況に近づいているわけだから、ユーザーにとって迷惑千万な話しであるに違いない。でも、本当にユーザーはそう考えているのか。
「ダントツ企業たちが割拠する半導体市場」と題して、半導体ユーザーにとってのダントツ企業の功罪を論じている今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。ユーザー代表としての同氏の見方は、ダントツメーカーの存在に対して、びっくりするほど好意的である。
多くのコンピューターメーカーは、独自のプロセッサーなど開発しなくても、一向に不自由を感じなくなった。それどころか、他社と同じプロセッサーを使うことで得られるメリットの方が、はるかに大きいように感じている。機器のスペックや価格よりもシステムの価値、機器の進化よりもサービスでの価値創造を追求することを是とするようになったICT業界が、ハードウエアを構成する半導体部品の選定と調達をどのように捉えているのか。いち半導体部品ユーザー氏の回答には、現在のマインドがよく表れている。
某ICT関連企業