ここ数年間、半導体業界ではM&Aが立て続けに起きてきた。その結果、特定分野でダントツに強い半導体メーカーが生まれるようになった。パソコン向けプロセッサーでは米Intel社、スマートフォン向けプロセッサーでは米Qualcomm社、メモリーでは韓国Samsung Electronics社、アナログでは米Texas Instruments社、パワー半導体では独Infineon Technologies社・・・。主要な品種の市場では、少数だが複数メーカーが共存する寡占状態は終わった。今や、1位企業のシェアが2位をダブルスコア、トリプルスコアで引き離し、市場で君臨する局面へと移りつつある。
莫大なデータを扱うIoTやAIの活用が広がり、半導体需要は今後も堅調に伸び続けていくことはほぼ確実な情勢である。そうした中、半導体チップの主要な品種それぞれに、市場と技術開発に大きな存在感を示すダントツ企業がいることは、半導体ユーザーのビジネスに、どのような影響を及ぼすことになるのだろうか。
今回のテクノ大喜利では、特定の分野に圧倒的な力を持った半導体メーカーが存在することの功罪を論じていただいた。最初の回答者は、野村證券の和田木哲哉氏である。ダントツ企業が、その強みを固めていく過程とその弊害を、具体的な例を交えながら解説した。
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター