組み込みシステムの開発において、これまでプロセッサー上で動作するソフトとして実装してきた機能を、専用ハード回路での実装に置き換える例が増えているという。これによって、システムに組み込む中核デバイスが、マイコンからFPGAへと移行していく可能性が出てきた。映像関連機器や先進運転支援システム、モーター制御など、特に高度で、大量の演算処理が要求される機能の実現で、こうした置き換えが起きているというのだ。
ソフトによる機能開発からハードによる機能開発への移行は、システム開発に携わるエンジニアの要求スキルや仕事の進め方を一変させる一大事である。こうした動きは、先進的な組み込みシステムを開発する現場に限った動きなのか、それとも組み込みシステム開発の行く末を反映した大きな動きなのか。
業界の有識者の方々に、技術トレンドやニュースを、それぞれの視座から切っていただいているテクノ大喜利。スピンオフ企画「テクノ大喜利 in the field」と題して、半導体関連製品のユーザーに近い現場で仕事をしているエンジニアの方々に、業界で話題になっている技術トレンドについて、それぞれの立場からの見解や肌感覚を披露して頂いた。
今回の「組み込みシステム、マイコンとFPGAのグレーゾーン」。普段、多くの組み込みシステムの開発事例に接している、マイコンサプライヤーや設計サポート、開発環境のベンダーなどで、現場に近いところで働いているエンジニアの方々に実情を聞いた。回答者の方々は、2015年5月13日〜15日に掛けて東京ビッグサイトで開催された「第18回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」に出展した企業のブースで、来場者に自社の製品やサービスを解説していたエンジニアである。ただし、各回答は、あくまでも回答していただいた解説員の方個人の見解であり、所属企業全体の総意ではないことを、あらかじめお断りしておきたい。
【質問1の回答】画像フィルターや通信系のインターフェースの書き換え
画像フィルターは専用回路を使った方が明らかに効率的な部分であり、通信系のインターフェースも専用回路を使っている機能である。いずれも元々マイコンの中のプロセッサーコアで処理する機能ではない。これらの部分の仕様を市場での要求に合わせて変えたり、手直ししたいという要求はある。こうしたハードを切り替えての利用は、プログラムでハードを書き換えるFPGAでしか対応できない。