Mooreの法則の先行きを不安視する声を尻目に、半導体の微細加工技術がさらに進歩していくことを示す、明るい話題が増えている。

 これまで精力的な技術開発が進められていたにもかかわらず、なかなか実用化できなかったEUV露光が、いよいよ7nmノードから量産適用されることになった。これによって半導体メーカー各社は、さらなる微細化の進展に明るい展望を持てるようになった。韓国Samsung Electronics社は、早くも独自構造のトランジスタ「MBCFET」を使い、2020年には4nmノードでの生産を開始すると表明した。

 こうした中、ベルギーの研究開発機関imecは、2017年5月16日と17日に開催したカンファレンス「imec Technology Forum」において、新たな半導体ロードマップを公開した。そこには、2025年以降の実現を想定して「14Å(1.4nm)」という新しいプロセスノードが付け加えられた。

 この新しいプロセスノードは、サブnm時代への突入を意味しているわけではない。しかしÅという、原子の大きさや結晶の格子定数を示すことに使われる単位をあえて持ち出して、新たなプロセスノードを提示した点は注目に値する。半導体業界が一丸となって、さらなる微細加工技術の開発に挑む決意と、挑戦すべき技術課題の共有を意図したimecのメッセージを強く感じる。

 今回のテクノ大喜利では、技術開発の開始が宣言されたÅ時代の微細加工技術の意義と、そこでの課題を洗い出すことを目的として議論した。各回答者への質問は以下の3つである。

【質問1】14Åノードのテクノロジードライバーとなる半導体チップは何だと思われますか?
【質問2】14Åノードプロセスを確立する上で、最大の課題は何だと思われますか?
【質問3】サブnmのÅ時代はやってくると思われますか?

 3つの質問に対するそれぞれの識者による回答要旨は、以下の表の通りだ。

図1 テクノ大喜利「半導体、Å時代はくるのか?」回答まとめ
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図1 テクノ大喜利「半導体、Å時代はくるのか?」回答まとめ