人間は成長するにつれて、役割や立場が大きく変わってくる。これは電子機器についても言える。パソコンは、普及し始めた当初はワープロによる文書作成などビジネスでの用途や個人の税金の計算などを中心に使われていた。その後、マルチメディアブームが到来した時期にはエンターテインメントを楽しむ娯楽機器として、インターネットが普及してからはネット上の情報を閲覧する端末として、活用されることが増えてきた。そして、今、役割が大きく変わってきているのがスマートフォンである。

 スマートフォンは、ユーザーがいつでもどこでも情報をフル活用し、快適な生活を送ることができるようにするための情報のハブになっている。スマートウオッチのようなウエアラブル端末も、スマートフォン経由で情報を扱う。スマートフォンでどの位の大きさのどのような特徴を持ったデータを扱えるかが、個人が出先で扱える情報の幅を規定するとさえ言えるかもしれない。もはやスマートフォンは、情報の出入口となる端末というより、個人が様々な場所で情報を扱うための通信インフラの一部と捉えた方が正しいかもしれない。

 「商用化迫る5G、何に使うの?」と題して、5Gがビジネス的に成功するための条件を洗い出している今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、テカナリエの清水洋治氏である。スマートフォンが進化していく様を最前線で克明に見てきた同氏が、今と将来のスマートフォンの役割を見据えたうえでの5Gの必然性を論じる。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
清水洋治(しみず ひろはる)
テカナリエ 代表取締役 技術コンサルタント
清水洋治(しみず ひろはる)  ルネサス エレクトロニクスなど半導体メーカーにて、1980年代から2015年まで約30年間にわたって半導体開発に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見を持っている。2015年から、半導体、基板、およびそれらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの代表取締役 上席アナリスト。
【質問1】スマートフォンの進化に5Gは必要でしょうか?
【回答】必要であり、早期の実用化を望む。
【質問2】5Gのキラーアプリケーションは何だと思われますか?
【回答】地図データのようなインフラ情報。
【質問3】5Gはビジネス的に成功すると思われますか?
【回答】 AIも自動運転も膨大なデータ通信が必須である。