携帯電話の4Gのサービス提供地域が順調に広がっていったのはなぜか。基地局の設置などインフラの整備に費やす投資を回収できるメドが立つほど、4G対応スマートフォンの普及が急ピッチで進んだからである。スマートフォンで動画を当たり前のように扱うようになり、4Gを活用するメリットはユーザーにも分かりやすく伝わった。インフラの整備とそれを利用する機器やサービスの普及は、鶏と卵の関係にある。携帯電話サービスがビジネスとして提供されている以上、インフラ整備はユーザーの動きを横にらみしながら進む。
5Gでは、指向性が高く減衰しやすいミリ波である28GHz帯の活用、100以上のアンテナ素子を並行利用して伝送能力を高めるMassive MIMOなど、これまでにも増して高度な技術の投入が予定されている。言い換えれば、インフラ整備に要するコストが高そうな技術が投入される。5G向けインフラの整備、ひいてはビジネスとしての5Gの成功は、こうした高度な技術に対応するための設備投資を回収できるアプリケーションがあるかにかかっている。
「商用化迫る5G、何に使うの?」と題して、5Gがビジネス的に成功するための条件を洗い出している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。同氏は、5Gに投入される技術の難しさと、5Gをビジネスとして成立させるための条件を肌で感じられる視座にいると言える。そして、ビジネスとしての5Gは、最適な応用先と当面の投資回収を担う応用先が一致していない課題を抱えていることを指摘した。
某ICT関連企業