ICTを活用したサービスやコンテンツの利用には、必ずそれを受け取る機器が必要になる。これは今に始まったことではない。自宅でオリンピック中継を見たいと思えばテレビ受像機が必要になり、「スーパーマリオブラザーズ」を遊びたいと思えば「ファミリーコンピューター」を買う必要があった。魅力的なサービスは、新しい電子機器の普及を後押しする。その一方で、斬新なサービスを提供する際には、そのサービスを利用できる機器がどれだけ普及しているかがとても重要になる。
米Apple社は、ネットを通じて音楽ソフトを配信するサービスを始めるに当たって、音楽の購入・管理に使う「iTunes」を「Mac」用だけではなく「Windows」用にも用意した。音楽は、再生用の携帯型プレーヤー「iPod」だけでは購入・管理ができなかったが、それでもサービスの利用広がった。既に普及しているパソコンを足がかりに、魅力的なサービスを利用できる手法は、その後の「iPhone」でも引き継がれた。そして、スマートフォンは今や、ICTの新しいサービスを立ち上げる上でパソコンに代わる重要な役割を果たせるまでに成長した。
「商用化迫る5G、何に使うの?」と題して、5Gがビジネス的に成功するための条件を洗い出している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、IHSテクノロジーの大山聡氏である。同氏は、5Gの特徴を生かした新サービスを立ち上げる際の足がかりとしてのスマホの重要性を論じる。
IHSテクノロジー 主席アナリスト