今回のテクノ大喜利では、人工知能システムのハードウエア、特に人工知能を宿すチップを取り巻く動きについて議論している。

 ある業界内での企業の役割分担のかたちを示す水平分業と垂直統合という区分は、システム事業と部品事業という枠組みの中で定義することもできるし、部品事業の作業をさらに細分化した設計と生産の間で定義することもできる。特に半導体事業では、設計と生産を、複数社で分担するのか、それとも1社で担うのかは、チップの特徴を見極めたうえで慎重に判断すべき問題だ。

 今回は、テカナリエの清水洋治氏が、人工知能チップを作るメーカーは、設計専業のファブレスメーカーとファウンドリの組み合わせが適しているのか、それとも設計と生産を1社が担うIDMが適しているのかを論じる。さらに同氏は、エッジ側でもなく、クラウド側でもない、ネットワークの境界線に人工知能チップを置くことの意義も提言した。(記事構成は伊藤元昭)

清水洋治(しみず ひろはる)
技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスなど半導体メーカーにて、1984年から2015年まで30年間にわたって半導体開発に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見を持っている。2015年から、半導体、基板、およびそれらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの上席アナリスト。

【質問1】人工知能チップの開発と実用化に際して、どのような企業にどのようなチャンスが生まれると思われますか。
【回答】ソフトとハードの両方を持つものにチャンス

【質問2】水平分業型と垂直統合型、人工知能システムのバリューチェーンはどのような形に収束すると思われますか。
【回答】結局はIDM(仮想を含めて)に収束か

【質問3】人工知能チップの技術開発や事業化は、民生機器や産業機器など組み込み機器の開発やビジネスにどのようなインパクトを及ぼすと思われますか。
【回答】違ったルールで運用されるネットワークの境界に置くと大きなインパクトがある