イメージセンサーのトップ企業であるソニーセミコンダクタソリューションズと独Bosch社が、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転向けの車載カメラの共同開発で技術提携することで合意した。暗い夜道でもクルマの周囲の状況を確実に検知できるカメラ技術を開発するという。さらにソニーのイメージセンサーと画像処理技術が、デンソーに供給されることが明らかになっており、車載向けビジネスに本腰を入れる様子がうかがわれる。

 ADASや自動運転において、クルマの目となるイメージセンサーは最重要部品の一つである。市場の成長は確実であり、そこにイメージセンサーのトップメーカーであるソニーが注力することは、極めて自然であるように見える。しかし実は、ソニーグループにとって車載向けビジネスへの参入は、かなり思い切った決断であると言える。

 ソニーの社内では、いつのころからか「人の命に関わる製品は扱わない」という不文律が語られてきた。同社はテレビ、音楽、映画、ゲームなどエンタテインメントの分野を地盤にしてビジネスをしている。それらの分野で大きなインパクトを持った製品が同社から送り出されることを、世界中が期待している。ところが、人の命に関わる製品で万が一の事故を起こせば、他の自社ビジネスにも多大なる影響が及びかねない。先の不文律が語られる背景には、このような事情がある。

 時代行く先を見据えて動く現在のソニーは、不退転の覚悟を持って車載向け事業に参入するに違いない。今回のテクノ大喜利では、車載向け事業に参入した先にある同社の未来について議論した。各回答者への質問は以下の3つである。

【質問1】本格的に車載向けビジネスに踏み込むソニーの決断は正しいと思われますか?
【質問2】ソニーの車載向けビジネスに不安要因はありますか?
【質問3】ソニーグループの他のビジネスに、車載向けビジネスが悪影響を及ぼす可能性があると思われますか?

 3つの質問に対するそれぞれの識者による回答要旨は、以下の表の通りだ。

表1 テクノ大喜利「ルビコン川を渡ったソニーの未来」回答まとめ
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表1 テクノ大喜利「ルビコン川を渡ったソニーの未来」回答まとめ