スマートフォンに新しい機能が次々と搭載されてきた時代、内部の半導体や電子部品にも新機能を備えたチップがどんどん搭載されてきた。一方でスマホは、小型軽量化が重要な携帯機器であり、同時に低コスト化が重要な民生機器でもある。このため、機能拡張と同時に、機器内部での機能統合も進められた。デジタルチップの製造プロセスの微細化は、こうした要求に大いに貢献し、スマホ内部では継続的に機能統合(コンバージェンス)が進んでいった。

 コンバージェンスが常態化していたスマホ開発で、機能面での進化が停滞すると、何が起きるのだろうか。そうした時代に、部品のサプライヤーはどのように対応したらよいのか。テカナリエの清水洋治氏が考察した。(記事構成は伊藤元昭)

清水洋治(しみず ひろはる)
技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスなど半導体メーカーにて、1984年から2015年まで30年間にわたって半導体開発に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見を持っている。2015年から、半導体、基板、およびそれらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの上席アナリスト。

【質問1】スマホの成熟によって、半導体メーカーの勢力図に変化があると思われますか。
【回答】勢力図が変わる可能性はあるが、確率は低い

【質問2】スマホ市場の規模拡大の鈍化に、既存の半導体メーカーはどのように対応すべきと思われますか。
【回答】コンバージェンスの恐怖がのしかかる

【質問3】スマホでの機能や性能の進化が望みにくい状況に、半導体メーカーはどのように対応すべきでしょうか。
【回答】拡張性にわずかな望みをかけてみる