これまで自動車事故が起きたときの責任の所在は、ほとんどの場合、ドライバーや事故に関わった当事者にあった。クルマを作ったメーカーや部品メーカーの責任が問われるのはレアケースである。これが先進運転支援システム(ADAS)を搭載したクルマや自動運転車になると、事情は大きく変わる。仮に事故が起きれば、いの一番にメーカーの責任を問われることになろう。実際に、クルマを作った側に何らかの原因があろうが、なかろうが、風評被害は免れない。ここまで、各回答者が論じてきたように、メーカーにとって魅力的な車載向け半導体市場は、参入に際して相当な覚悟が求められる市場でもある。

 「ルビコン川を渡ったソニーの未来」をテーマに、車載向け事業に参入するソニーの未来について議論している今回のテクノ大喜利。5人目の回答者は、半導体ユーザーの視点から同社のイメージセンサーを見ている、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。高い技術力を誇るソニーであるから、車載向け日ビジネスをやり遂げる力は十分あるとしながら、こんな部分にも気を配っておく必要があるのではという点を指摘した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
いち半導体部品ユーザー
某ICT関連企業
いち半導体部品ユーザー  ICT関連企業で装置開発に必要な半導体部品技術を担当。装置開発側の立場だが部品メーカーと装置開発の中間の立場で両方の視点で半導体部品技術を見ている。
【質問1】本格的に車載向けビジネスに踏み込むソニーの決断は正しいと思われますか?
【回答】ソニーという名前を捨てる覚悟があるなら正しい判断
【質問2】ソニーの車載向けビジネスに不安要因はありますか?
【回答】何らか失敗があった際にきちんと情報公開できるか。
【質問3】ソニーグループの他のビジネスに、車載向けビジネスが悪影響を及ぼす可能性があると思われますか?
【回答】品質基準などで混乱する可能性がある。