地震が頻発する日本には、被災によって事業競争力が大きく削がれてきた歴史がある。過去の経験から何を学び、熊本地震でどのように生かされたのか。東日本大震災でのルネサス エレクトロニクスの復旧の過程を内部から見ていた、テカナリエの清水洋治氏が、熊本地震での半導体メーカー各社の取り組みを検証した。さらに、スマートフォンなど多くの電子機器やそこに使われている半導体チップを分析した経験から、ソフト開発やチップ設計といった新しい切り口からの事業継続計画(BCP)のあり方について、提言する。(記事構成は伊藤元昭)

清水洋治(しみず ひろはる)
技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスなど半導体メーカーにて、1984年から2015年まで30年間にわたって半導体開発に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見を持っている。2015年から、半導体、基板、およびそれらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの上席アナリスト。

【質問1】熊本地震では、日本のものづくり企業は東日本大震災の教訓を的確に生かすことができたと思われますか。
【回答】大いに進化したと評価したい

【質問2】半導体のユーザーに、今回の熊本地震はどのようなインパクトを与えたと思われますか。
【回答】インパクトはあったが継続性も見えた

【質問3】日本の半導体メーカーが、国際競争力と事業継続性の双方を強化するため、どのような戦略・施策を採る必要があると思われますか。
【回答】マージンはBCPを可能にするという発想