「熊本地震」は、九州地方に生産拠点を置く、多くの企業に損害を与えた。“シリコンアイランド”とも呼ばれる九州に多くの生産拠点を置いていた半導体産業の被害も甚大だった。数ある工業製品の中で、半導体は生産拠点の集中による効率化が極めて効果的な製品である。緊急時に備える事業継続計画(BCP)の基本であるリスク分散と、事業競争力の強化するための生産拠点の集中は真逆の方向にあると言える。今回のテクノ大喜利では、事業競争力を維持しながらのBCPの取り組みにおいて、日本の半導体メーカーが今後なすべきことについて議論している。今回の回答者は、アーサー・D・リトル 三ツ谷翔太氏である。(記事構成は伊藤元昭)

三ツ谷翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。

【質問1】熊本地震では、日本のものづくり企業は東日本大震災の教訓を的確に生かすことができたと思われますか。
【回答】着実に進んでいるが、より自社にあった対策指針の設定が必要

【質問2】半導体のユーザーに、今回の熊本地震はどのようなインパクトを与えたと思われますか。
【回答】日本のデバイス産業の「存在感」と「災害対策の進化」を象徴

【質問3】日本の半導体メーカーが、国際競争力と事業継続性の双方を強化するため、どのような戦略・施策を採る必要があると思われますか。
【回答】民間の努力と、立地競争力に向けた政府・自治体の支援