ルネサス エレクトロニクスは、車載分野での受注が現在絶好調だという。同社が強い車載半導体は、直近の営業の成果が出るのが数年後。受注の好調さは、将来の楽しみな材料である。ただし、自動運転車や電気自動車などへの多様な新技術の投入が欠かせない自動車業界の状況に誘われて、さまざまな新興勢力が車載半導体分野に参入してきている。これまでこの分野に強みを持っていたメーカーとは、異なる切り口の技術とビジネス上の作法で市場開拓を進めている。

 「ルネサスの復活は本物か?」と題して、ルネサスの現在と未来を議論している今回のテクノ大喜利。9番目の回答者は、東海東京調査センターの石野雅彦氏である。同氏は、ルネサスが発表した経営情報を基に、現在の好調さの要因を分析し、同社が次のフェーズで勝ち抜くための方策を探った。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
石野雅彦
東海東京調査センター シニアアナリスト
 山一証券経済研究所、日本興業銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、東海東京調査センターのシニアアナリストとして半導体、ディスプレイ、通信などテクノロジー企業および産業を対象にした調査・分析に従事している。
【質問1】ルネサスは、世界の競合の中で勝ち抜けられる状態になったのでしょうか?
【回答】第1フェーズは成果が結実したが、競争激化は続くと見られる。
【質問2】ルネサスが現在のように復調できた、最大の要因は何なのでしょうか?
【回答】目指す財務指標を掲げ、注力市場でNO.1となる顧客提案を明確にできたこと。
【質問3】次のステージでのルネサスは、何を目指して何に注力すべきだと思われますか?
【回答】米Intersil社の買収による事業シナジーの創造に続く、新たなM&Aによるさらなるシナジー創生。