車載機器向けでも、IoTを駆使する産業機器向けでも、半導体メーカーが付加価値の高いソリューションを提供する上で、より競争力の高いアナログとパワーのデバイスを持っていることが重要になっている。自動車や産業機器からのデータ収集やアクチュエーターや表示機器を駆動する役割を、直接担っているからだ。

 ここまでのテクノ大喜利の回答者の指摘から、ルネサス エレクトロニクスが、ソリューションビジネスを展開するための知見とスキルを着実に身につけてきた様子が垣間見えた。また、自動車業界などでは、半導体メーカー側からの自発的技術提案をむしろ望んでいる機運が出てきていることを指摘する意見もあった。今後は、価値あるソリューションを生み出すための要素技術を、不足なく持つことが欠かせなくなってくる。

 「ルネサスの復活は本物か?」と題して、ルネサスの現在と未来を議論している今回のテクノ大喜利。7番目の回答者は、IHSテクノロジーの大山 聡氏である。米Intersil社を買収してアナログの強化を図ったルネサスだが、その効果は、求められている水準には達していないとする。そして、競合企業の戦力を分析しながら、アナログとパワーでのさらなる強化法を探る。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
大山 聡
IHSテクノロジー 主席アナリスト
大山 聡  1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年より現職で、二次電池をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。
【質問1】ルネサスは、世界の競合の中で勝ち抜けられる状態になったのでしょうか?
【回答】まだ大きな課題が残されている。
【質問2】ルネサスが現在のように復調できた、最大の要因は何なのでしょうか?
【回答】古い工場の閉鎖、人員削減などによる固定費の削減が最大の要因。
【質問3】次のステージでのルネサスは、何を目指して何に注力すべきだと思われますか?
【回答】アナログICおよびパワーデバイスの強化。