東芝メモリの買収には、競合、ユーザー、投資ファンドと極めて多様な企業が興味を持ち、実際に入札に参加した。このことは、同社の事業のインパクトの大きさと多面性を端的に示している。前回の回答者である「いち半導体部品ユーザー」氏は、今や戦略部品となったNAND型フラッシュメモリーのユーザーの立場から、巨大なユーザー企業による買収は是が非でも避けてほしいと論じた。それでは、ユーザー企業による買収には、買収される側とする側の他にはメリットがないのだろうか。

* 前回の「いち半導体部品ユーザー」氏によるオピニオン「巨大ユーザーによる東芝メモリの買収は、とにかく迷惑だ」を参照。

 「どうなる、東芝メモリ(仮)」と題した今回のテクノ大喜利7番目の回答は、テカナリエの清水洋治氏である。様々な機器を分解し、実際にNANDフラッシュが機器中で使われている様子を見てきた経験から、これからのNANDフラッシュはどのように開発し、販売していかなければならないのかを論じた。そこで語られているのは、ユーザー企業をパートナーとすることによる、新しい価値を持ったNANDフラッシュ事業の姿である。

(記事構成は、伊藤 元昭=エンライト
清水洋治(しみず・ひろはる)
テカナリエ 技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスなど半導体メーカーにて、1984年から2015年まで30年間にわたって半導体開発に従事した。様々な応用の中で求められる半導体について、豊富な知見を持っている。2015年から、半導体、基板、およびそれらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの代表取締役 上席アナリスト。
【質問1】分社化と外部資本の導入によって、東芝メモリ(仮)の事業は何が、どのように変りますか?
【回答】不足していたマーケティング力を醸成できる。
【質問2】東芝メモリ(仮)にとって、考え得るベストシナリオは?
【回答】 チップセットを供給できる体制の構築。
【質問3】分社化と外部資本の導入によって、東芝メモリ(仮)との取引企業には、どのような影響が及びますか。
【回答】応用機器のサプライチェーンが変化する可能性がある。