無線技術の利用に欠かせない高周波モジュールをめぐって、半導体メーカーと電子部品メーカーの間で、協業やM&Aの動きが活発化してきた。

 その代表例が、2016年1月に発表された、TDKとQualcomm社による高周波モジュールなどを生産する合弁会社、RF360 Holdings社の設立である。RF360の設立を契機に、TDKとQualcomm社は、モバイル機器やIoT、ドローン、ロボット、自動車といった成長著しい事業領域で、より価値の高い高周波モジュールを提供していく見込みである。また両社は、センサーや非接触給電のような分野でも、技術協力を拡大するという。

 日本の電子業界の中で、電子部品はまさに“虎の子”といえる存在である。電子部品メーカー各社の業績は、中国でのスマートフォン市場の活況で絶好調。技術的にも、モジュール化技術など先進分野で海外メーカーを圧倒している。こうした日本企業の強みを国際競争力の醸成にどのようにつなげるべきかは、日本の電子業界にとっての大きなテーマになると思われる。

 今回のテクノ大喜利では、半導体メーカーと電子部品メーカーの新しい協力関係の姿について、お聞きした。最初の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。(記事構成は伊藤元昭)

三ツ谷翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
[画像のクリックで拡大表示]
 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。

【質問1】電子部品業界との協力関係で、半導体業界のどのような分野にどのようなメリットが出てくると思われますか。
【回答】日本の電子産業としての生き筋のひとつ

【質問2】半導体と電子部品の融合が進むことで、電子機器や情報システムの進化・発展にどのようなインパクトがあると思われますか。
【回答】 Cyber Physical Systemの普及加速

【質問3】日本の半導体メーカー、電子機器メーカーは、強い電子部品業界が足元にある地の利をどのように生かしたらよいのでしょうか。
【回答】垂直連携を強化し、産業としての価値を呼び込み、守る