シャープが、世界最大のEMSである鴻海精密工業の傘下に入ることになった。産業革新機構から提示された再建案と比較検討した末での決定だ。国内上位の大手電機メーカーが、会社ごと外資企業の傘下に入るのは初めてのことである。

 シャープが支援を受ける先を選択する課程では、鴻海と産業革新機構の案が対照的だった。

 官民出資の投資ファンドである産業革新機構による再建案は、日本企業の苦境を国内の力で救うことに主眼を置いた「日の丸互助会」のスキームに沿ったものだった。これに対し、鴻海による再建案は、経営危機を救うというより、シャープの資産を自社ビジネスに生かす発想で構築されたものだ。やる気満々で指揮する鴻海 董事長の郭 台銘氏からは、敗戦処理という雰囲気は微塵も感じられない。

 シャープの鴻海傘下入りは、日本の電機産業の歴史の中で、時代を画する出来事になる可能性がある。今回の買収に、どのような意義があるのか、そして日本の電機産業の企業は何を学ぶべきなのか。今回のテクノ大喜利では、回答者の方々に、日本企業の国際競争力を維持・向上するうえで得られる教訓を、3つの切り口からお聞きした。

【質問1】
経営再建を目指す日本企業が、「日の丸互助会」に頼らないことの意義や懸念をお聞かせください。

【質問2】
欧米系ではなく、アジア系の企業をパートナーとすることの意義や懸念をお聞かせください。

【質問3】
同業者ではなく、顧客やサプライヤーをパートナーとすることの意義や懸念をお聞かせください。

表 テクノ大喜利「シャープと鴻海から学ぶ」回答まとめ
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表 テクノ大喜利「シャープと鴻海から学ぶ」回答まとめ