米国が、世界経済と文化・文明のリーダーとして君臨してきた理由の1つに、ビジネスや科学技術でイノベーションを次々と生み出す環境を備えていることがある。世界の国々は、常に変化を先導する米国の背中を見て追随してきた。イノベーションには、新しい時代を切り開く効果がある半面、簡単には変われない多くの人々を置き去りにしてきた側面もある。「忘れられた人たち」に寄り添うことを標榜するトランプ政権が打ち出す政策は、イノベーションを創出する環境をどのように変質させていくのだろうか。

 「トランプ時代の歩き方」と題して、トランプ政権下での電子業界に対する影響を考える視点を抽出する今回のテクノ大喜利。2人目の回答者は、イノベーションマネジメントや科学技術政策を専門とするコンサルタント、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。米国が次々とイノベーションを生み出してきたメカニズムを明確に定義して、トランプ政権のインパクトを論じる。また、米国でのイノベーション創出環境の変化で生まれる、日本をはじめとする米国以外の国々の機会についても示唆する。
(記事構成は、伊藤元昭=エンライト

三ツ谷翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。

【質問1】トランプ政権によって、ネガティブな影響を受ける懸念がある業種をお聞かせください。
【回答】エレクトロニクス産業全体としてのイノベーションのあり方が変わる

【質問2】トランプ政権によって、ポジティブな影響が及ぶ可能性がある業種をお聞かせください。
【回答】あえて言えば、都市ソリューション関連

【質問3】日本の電子業界またはその関連業界の中で、大きな影響を受けるのは、どのような業種の企業だと思われますか。
【回答】官民ともに「イノベーションのあり方」を再考する契機